6月20日(水)の公式練習の2日目は、パイクスピークマウンテンを尾根伝いに走るアッパーセクションを走行。
全体的には高速コーナーが主体を占めながらも頂上に近づくに連れてスイッチバックコーナーが現れるというテクニカルなコース。標高は既に富士山より高い3,834mから4,301mのゴールまでの約6㎞が舞台となります。
今年のコロラドスプリングスは不安定な天気が続き、今の時期には珍しく雨も多く、今朝のアッパーセクションの公式練習でも濃霧でスケジュールが遅延するという事態に見舞われました。
そのため、1回目の走行はオフィシャルカーを先頭にコンボイスタイルで全レースカーが安全確認のため走行。その後、2回のタイムアタックが行われました。
富士山より高い標高では、酸素濃度が海抜0mと比較して60%程度まで低下し気圧も650hPaまで下がるために、ガソリンエンジン搭載車にとっては大幅な出力の低下に悩まされ、タイムダウンつながります。
しかし、電気自動車は外部の環境に左右されず常に最高なパフォーマンスを期待でき、パイクスピークインターナショナルヒルクライムには打って付けレーシングカーと言えます。
ほとんど市販車状態と言える230 SAMURAI SPEED NISSAN LEAFも電気モーターならではの高トルクと、2012年パイクスピークインターナショナルヒルクライムEVクラス優勝の経験を生かした奴田原選手のクレバーな走りで、同セクションを走るポルシェケイマンGT3、三菱ランサーエボリューションⅧ、フォードマスタングなどハイパフォーマンスマシンに引けを取らない3分20秒85をマークする素晴らしい走りを披露しました。
昨日のミドルセクションのベストタイムの3分18秒701に本日のアッパーセクションのベストタイム3分20秒85と明日のボトムセクションのタイムを合計することで決勝の予想タイムが算出できることになります。予想以上の走りに2016年の記録の更新を期待しますが、バッテリーの発熱による出力制限の懸念も払拭できていないのも現状です。
明日の公式練習は、3つのセクションの中で最も長距離約8㎞を走るボトムセクションにアタックします。高速走行での安定性を高めるため、大王製紙株式会社が開発を進める新素材セルロースナノファイバーで製作したカナードウイングを装着しての出走となります。
明日も奴田原選手と230 SAMURAI SPEED NISSAN LEAFの走りにご期待ください。
◆ドライバー奴田原文雄選手のコメント◆
「濃霧のため、2回のタイムアタックしかできませんでしたが、それでもマシンの具合も良く思い切り走ることができました。バッテリーの不安は残りますが、セーフモードにはる予兆もなく、フルスロットルで走ることができています。
最高速もメーター読みですが、160キロ近くまで出ています。明日のボトムセクションは走行距離も長く、気温も高くなりそうなので、
バッテリーの様子を見ながら好タイムを記録できるよう頑張ります。」
濃霧の中出走を待つ230 SAMURAI SPEED NISSAN LEAF
(撮影:青山義明)