第99回 パイクスピークの参戦車両を正式発表

第99回 パイクスピークの参戦車両を正式発表
「日産リーフe+」を4WD化したPPIHCスペシャルマシン
ニューマシンの外観写真はこちらからダウンロードしてご利用ください。

6/22 PM8:00 / コロラドスプリングス(米国:現地時間)
エクストリーム パワースポーツ チーム「SAMURAI SPEED(本社:東京都港区、運営母体:株式会社ゼロイースクエア)」は、「第99回 パイクスピーク インターナショナル ヒルクライム(略称:PPIHC)」で使用する参戦マシンの外観および詳細を発表します。

PPIHCは別名「雲に向かうレース(The Race to the Clouds)」と呼ばれるように、ロッキー山脈の東端に位置する標高4,301mのパイクスピーク山頂のゴールを目指し、中腹のスタート地点(2,862m)からゴールまでの約20kmの舗装路を一気に駆け上がり、そのタイムを競いあうスピード競技です。そのためこれまで多くの参戦マシンは大排気量、高出力、優れた安定操縦性などが求められてきました。

この過酷なレースに電気自動車(以下:EV)で挑戦し続けるSAMURAI SPEEDは、2012年の「エレクトリッククラス」での優勝経験を基に今年は更なるチャレンジとして、昨年はコロナ禍により参戦できなかった「アンリミテッド(改造無制限)クラス」に初挑戦します。ニューマシンの開発には日本のサポーター企業各社の優れた新素材やスペシャルパーツ、卓越した技術力など持てる力のすべてを結集することで、より厳しいコースにマッチしたグッドコンディションなマシンを造りあげることができました。

ベースモデルの「日産リーフe+」には、PPIHC用のさまざまなスペシャル・チューニングを行いました。例えば、ヒルクライムレースに求められるより強力なパワーや登坂力、そしてより高い接地性を同時に得られるよう、駆動方式を市販の前輪駆動(FWD)から後輪にもモーターを含む駆動機構を増設したSAMURAI SPEED独自の四輪駆動(4WD)に改造しています。駆動用バッテリーとモーターは「リーフe+」に標準装備している350V/62kWhのリチウムイオン電池(1個)と85kWの交流同期型モーター(前後各1基計2基)で、効率良くエネルギーを使いながら最高のパフォーマンスを発揮できるよう、制御系もチューニングしています。ニューマシンの外観写真はこちらからダウンロードしてご利用ください。

<徹底した軽量化対策>
ニューマシンは、厳しいレース レギュレーションの範囲内で、より完璧なマシンにするための改造と、これによる重量増を効果的に相殺するための徹底した軽量化対策を施しています。重量増の主な要因は、駆動方式をFWDから4WDするためにリヤに増設した駆動用モーターとサスペンション関係部品に加え、万が一の転落事故でもドライバーの安全を確保できるよう、室内に設置した堅牢な鋼管製の専用ロールケージです。レースでは絶対的に不利になる重量増を少しでも減らすための軽量化は、ニューマシンの内外装に及んでいます。例えば、内装部品は必要な計器類と操作系部品だけを残して、そのほかの部品類はすべて取り外しました。また、外装の多くの部分にはパートナー企業が開発した新素材を採用しています。こうした軽量化対策により、ニューマシンの車両車重は、市販のリーフe+とほぼ変わらない約1,628kg(PPIHC車検時の実測値)を実現しています。

<過酷な条件下でのバッテリー制御>
EVの課題である「航続可能距離の拡大」に伴う車載バッテリーの大容量化に合わせて、EVを安全かつ効率良く稼働させるための駆動モーターやバッテリーからの熱を効率よく制御するサーマルマネジメントシステムは必要不可欠な技術のひとつです。PPIHCはその高度差(スタート地点からゴールまでの高度差は約1,500m)による気温変化が激しいことに加え、スタート直後から全開走行することで、駆動用バッテリーやモーターが受ける負荷は、通常の使用での範囲を遥かに超えてしまいます。さらに今回の4WD化により、その作動条件は市販車両と大きく異なるため、ニューマシンの開発では、特別なサーマルマネジメントシステムの構築が必要になりました。パートナー企業のサンデン・アドバンストテクノロジー株式会社は、長年蓄積してきたEVに関する豊富な経験と知識を基に、ニューマシンが最高の性能を発揮できるよう、今回採用したバッテリーに対して最適な冷却構造を考案しました。同社ではPPIHCでの過酷な使用条件での電動車両のデータの取得と解析を通じて、次なる新たなサーマルマネジメントシステムの開発、商品力の向上に活かしていくとしています。同社の「統合熱マネジメントシステム」に関しては、サンデンホールディングス株式会社のホームページをご参照ください。

<新素材:大王製紙株式会社によるセルロースナノファイバー技術>
ニューマシンの外装の一部には、パートナー企業である大王製紙株式会社が自動車部品などへの幅広い実用化を目指しているセルロースナノファイバー(以下:CNF)技術を駆使したボディパネルを採用しています。CNFは植物由来の素材で、軽量、高強度、高弾性率という特徴を持っており、車両の軽量化は勿論、プラスチック使用量の削減などにもつながります。ニューマシンでは下記図の通り、ルーフ全体、左右のドア、ドアミラーなどに複数のCNF素材で成形した部品を装着しています。ニューマシンは、こうした軽量化素材を積極的に採用したことで、改造による重量増を相殺するに十分な軽量効果を実現しています。

同社では、今後のCNFの市販車両への展開を視野に、レース車両への実装を通じた耐久性などの検証を行っています。詳しくは大王製紙株式会社のホームぺージをご参照ください。 

※上記車両画像はイメージです。今回の車両写真はこちらをご覧ください。

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