After all, battery temperature sharply rises! Canard wing made of cellulose nanofiber attracts attention!

第96回パイクスピークインターナショナルヒルクライム、
公式練習3日目(ボトムセクション)レポート!

6月21日(木)に公式練習3セクション中、最長距離を走るボトムセクションで行われました。
パイクスピークマウンテンの裾野を走るこのセクションは、決勝時と同様のスタート地点から約8kmを走行します。
コース前半は道幅も広くハイスピードなワインディングが続き、コース後半からは徐々に勾配もきつくなり、同時にスイッチバックのターンが現れます。
いかにスムーズに走るかがタイムアップの決め手となります。

なお、今回のアタックから大王製紙株式会社が開発した自動車業界でも注目される新素材セルロースナノファイバーで作られたカナードウイングを装着して走行。
将来的には、セルロースナノファイバー製のボディーパーツ製造を念頭に、コンペティション走行時での耐久性などを検証します。

日の出と同時に遅れもなくプラクティスが開始。
奴田原選手の駆る230 SAMURAI SPEED NISSAN LEAFも早々にコースイン。
激しいタイヤスモークを残し、果敢にアタック。その結果、5分13秒171をマーク。
2年前の同区間のタイム10秒以上も短縮し、奴田原選手、チームスタッフも2016年のタイムを確実更新出来ることを確信しました。

続く2トライ目、中間スプリットタイムは1トライ目よりも4秒近くも速く好タイムが期待されましたが、懸念されていたバッテリー温度上昇によるセーフモードが起動してしまい低速走行を強いられ、1秒弱のタイムアップにとどまりました。

ボトムセクションは他のセクションよりも走行距離が長く、1,500mと低く標高とそれに伴う16℃以上の外気温のためセーフモードが起動したと推測されます。
そのため、チームは決勝に向けて明日のオプション練習走行をキャンセルし、バッテリーの温度管理対策を再考する型となりました。

バッテリーとは対照的にセルロースナノファイバー製カナードウィングは高速走行時の空気抵抗にも破損や変形することなく優れた耐久性を実証。
今後、自動車部品の素材として十分な可能性を示しました。

==TOMORROWS TOPICS==
明日はコロラドスプリングスのダウンタウンを封鎖して開催されるファンフェスタが実施されます。
パイクスピークインターナショナルヒルクライムに参加するチームが自慢のマシンを展示し、ドライバーのサイン会などが
行われます。毎年、3万人を超える観客が足を運ぶ、ビッグイベントです。
230 SAMURAI SPEEDもNISSAN LEAFを展示、奴田原選手のサイン会やパートナー企業のプロモーションも行います。

◆ドライバー奴田原文雄選手のコメント◆
「今回のアタックで、懸念してたセーフモードになってしまいました。もともといずれは発生すると理解していましたが、どのように対策をしていくか、悩んでしまいます。
それ以外にも、このクルマの特徴でもあるe-padalが突然動作しなくなるなど、複雑なシステムである電気自動車をコンペティションシーンで使用する難しさを痛感しています。
しかし、そんなことも言っていられないので、チーム一丸となって対策と改修を施し、決勝にアタックします。」

中速コーナーを軽快に駆け抜ける230 SAMURAI SPEED NISSAN LEAF

(写真提供:青山義明)

耐久実験を兼ねて装着したセルロースナノファイバー製カナードウィングは予想以上の強度を示した

(写真提供:青山義明)